R-1は、「大阪ローカルとか全国深夜番組のワンコーナー的っぽい大会」になった

 いや、正直かなりびっくりした。バカリズムエハラマサヒロ鳥居みゆき、COWCOW山田よし、あべこうじあたりが優勝したなら「そーきたかー」となるし、夙川アトム岸学、サイクロンZ、鬼頭真也あたりが優勝したなら「FUCK!!!」となっただろう。「ああ、中山功太ね……中山功太!?」って感じ。中村巧太が優勝する場ってたとえば深夜番組であったり大阪ローカルの一部だったりとか、いわゆる「(自称含めて)お笑い通」みたいな人たちが多い場だけだと思っていた。
 なんというか、中山巧太って、センスあって発想力あってひねくれてるから、一部では「オレお笑い分かってるぜ」をアピールするためのマスコットともなっている節があるのね(深夜番組や大阪ローカルの一部で評価されるのはそのため)。でもそれはある一線を越えている人たちにとっては*1イタイ行為だし、「ひねくれてる」ことをプラスポイントにするのも浅い。そこで考えるべきはR-1予想の記事でも書いた彼の「構成を練らない」ところ。
 ネタにはいろんな要素があって、たとえば発想、演技力、センス、テンポ、設定、構成みたいなね。意味若干かぶってるのもあるけど。で、やっぱり「オレは構成が苦手だから構成は放棄するぜ。だから発想とかだけで評価してくれ」っていうのは無理な話なわけ。それをOKとするならそれこそ大喜利だけずっとやってるってネタとか、一発ギャグを時間いっぱいまで披露し続けるってネタが、そのネタ中のボケの発想がその中で一番高かったとき一位になってしまう。他の芸人は構成やテンポを良くするために発想の部分を妥協することもあるかもしれないのだから、それはおかしいことだ。
 つまり、小さい大会とかならまだしも、やっぱりデカい権威のある大会の場合は発想やら設定やらセンスやら全て含めた総合点で判断すべきってことなんだよ。とはいえもちろん、「発想だけで勝負!」っていうネタを持ってきてもいい。それは「構成なし、設定も希薄、そこのポイントが少なくても発想だけでオレは他を圧倒している!」っていう自信があるときだけ。そして、評価する側も発想が他を圧倒的にぶち抜けてるときだけしか一位になるほどの評価をしてはならない。「発想は良かったよ!」という意思表示のために自己三位〜四位くらいの点数はつけてもいいけど。
 そうなってくると今回の中山巧太の構成を練らないネタは、やっぱりR-1という舞台では優勝すべきではなかった。しかし、してしまったものは仕方が無い。これからR-1は一部の「(自称)お笑い通」にウケて「一般視聴者」にはまあウケるけどそんなではない芸人が評価される大会としてコマを進めていくのだろう。アーメン。


 しかし、なぜこうなってしまったのか?それは「審査委員の一部の中途半端さ」に起因するだろう。
 彼らはそこそこお笑いの世界で活躍しているが、世間、またはお笑いコアファン層から「あいつおもしろいな〜」とか言われているような人はあまりいない。関根勤清水ミチコはそこそこ言われているけど*2
 そして、あの席に座るということは、「自分のお笑いを見る目を全国に流している」ということだ。中途半端な位置の彼らは、「あいつ見る目あるなぁ」と世間やお笑いコアファンに思われたいのだ。
 これが松本人志島田紳助オール巨人などなどとなってくると、その活躍ぶりなどから「あいつ見る目ないなぁ」とか思われる心配が無い。だから他者の目なんて気にせずに審査が出来る。
 中途半端な位置の彼らが、「あいつ見る目あるなぁ」と思われるのによいのは何か、となってくるとやはりこの文章の前半でも述べた「センスあって発想力あってひねくれてるから、一部では『オレお笑い分かってるぜ』をアピールするためのマスコットともなっていた」中山巧太に高得点をつける、ということになってくる。「中山巧太に高得点つけるオレ、見る目あるだろ?」である。そしてそこには前半でも述べた「ひねくれてる」ことをプラスポイントにするという、浅〜い浅〜い基準も存在するのだろう。
 また、逆に、中山巧太に低得点をつけると「あいつ見る目無い」と思われる心配というのもある。だから高得点をつけざるをえない空気になる。
 もっと言えば、たぶん松本人志なんかは中山巧太が「オレお笑い分かってるぜ」をアピールするためのマスコットともなりえるということを理解し、さらにそれを理由に高得点をつけるなんてもってのほかだということは直感的に理解しているだろう。しかし、R-1の中途半端な彼らはそのことに気づけていないのだろう。
 これは「空気が読めていない」というのに近い。彼らは、R-1という場だけの空気なら読めていたのかもしれないが、「お笑い」というステージ全体のそれを読む力が足りていないないのだ。
 なぁんだ。要するにR-1の審査員って言うのは「自称お笑い通」だけど浅いっていう人たちばっかりだったんだね。

 では最後に。
 バカリズム超面白かった!!

*1:こういうこと書くと「お前がその一線を越えているって言いたいだけだろ」とか言う馬鹿が沸くけど、こんなブログやってる時点で自分のお笑いのみる目にかなりの確信を持っているってこと理解しろ

*2:そしてここからR-1の審査員のことをさす言葉にこの両名は含まれないということで。まあこの両名だけじゃなく「中途半端な彼ら」に含まれない人はいますが