松本人志のコントMHK、感想

 松本人志のコントMHKをみた。
 最近記事を更新していないしツイッターに感想書くにも長いしツイッターだとあまりネタバレしてはいけないみたいなのもあるしといろいろと重なってちょうど良いので、久々に感想記事みたいなものを書いてみようと思う。
 まず全体的な感想から言うと、かなり楽しめた。「おもしろくなかったらどうしよう」なんていう、よく考えたら妙な不安もあったが、それは杞憂だった。いやむしろ、仮におもしろくなかったとしても、それはそれでかまわないのだ。私などは、このように松本人志が何か腰を据えて作品を作るということになったとき、「おもしろいか否か」というところよりも「あの松本人志がどんなものを作るのか」という好奇心が先に来てしまうからだ。
 というかそもそも、松本人志が今回はずしたとしても過去の圧倒的な打率は覆らない。イチローが一番最近の試合で4打数1安打だとしてもイチローがすごいバッターであることには変わらないように。というような喩えを以前どこかで読んだが、まさにそのとおりだと思う。しかも、松本人志はまだまだ現役でバラエティーに出演しており、そこでのトークの発想力や視点がまだまだ一流のレベルを保っている*1ため、「衰えた」なんてのもてんでおかしい話である。
 と、自分のある種の信者的態度と呼ばれてもそれほど文句は言えないスタンスを明らかにした上で、感想を書いていきたいと思う。

感想

 松本以外の芸人が登場しないと聞き、期待していたが、期待通り全体として松本色が非常に強く、まずそこが非常にうれしいポイントであった。声に出して笑った箇所も非常に多く、単純に楽しめた。では、ここから個別感想。ニュースと幽霊シリーズについては書いてません。

ダイナミックアドベンチャー

 初っ端の通販のコントが、「明日かと思ってた」をやたらと主張するといういかにも松本らしいボケから始まった時点で、おもしろくなるなと非常に期待が持てた。そしてその後の「動詞と名詞があるからなんとなくわかる」というような言葉への気付き系のボケなども非常におもしろく松本らしい。ほかにも、「ハッピースティック(だっけ?)を右から三番目に刺してください」「右ってどっち?」というボケがあった後の、「RとLを滑り込ませる」というボケへの流れで、「RとL」を正しく滑り込ませた状態での「R」の方から三番目に、ハッピースティックが刺してあるようになっているという細かいこだわりなど、見所は非常に多い。

ビUFOアフター

 ビフォーアフターのパロディでも、そのような細かいおもしろいボケが多い。似顔絵の顔の色が肌色であったり、「トイレの近くに台所がある」のシーンで、まな板の上に緑色のブニブニしていそうな丸いものがたくさん乗っていたり、改装後の食事のシーンで食べているものの色もおかしい、などなど。そのような細かいボケだけではなく、「ボッコリ」に収納し、真ん中は机がせり上がるようにするという発想や、ライトセーバーのボケやおばあちゃんのほふく全身などの視覚的なおもしろさなども非常に秀逸。遺影が楽しそうな笑顔に変わっていたところや、仏壇の「チーン」を鳴らしてみちゃうところなんかも非常に笑った。

答辞

 最後のコント、答辞についてだが、これもおもしろいことはおもしろいのだが、少し物足りない部分もあった。言葉遊びを繰り返すという実に松本らしいネタであり、間違いなくおもしろいコントではあったのだが、その松本の遺伝子を受け継いでいるバカリズムらのネタと比べると、どうも「逆に」という言葉の壊し具合遊び具合が足りないのではと感じられた。だが、演技の感じを見る限り、おそらく6、7割はアドリブであろうから、実はそのあたりは正直しょうがない。なぜならその分、アドリブの力で、演技への感情の入れ方や、言い方のおもしろさが際立つからだ。序盤での妙に癖とおかしみのあるしゃべり方や、後半でのたたみかけ、突然の逆ギレや「新聞紙!」という叫びなど、半アドリブならではの憑依的な芸が際立つのだ。さらに、半アドリブ芸こそが松本人志のホームグラウンドであるため、これもまた非常に松本らしいコントであったといえよう。


 と、非常に楽しめる45分間であった。なんども声に出して笑えたってのがでかいなー。シリーズ化に期待です。

*1:しかも、手癖や技術ではない部分で