日本語に無い決定的な言葉

 日本語はあいまいで行間を読ませるようなことがよくある、略すことが容易に出来る、自由に言葉を組みかえられるといった特徴が一般に知られている。
 また、造語を作ることも容易であり、「〜的」とつけることでものすごい数の表現をすることが出来る。また、「スマートな」などと外来語を取り入れられるといった特徴もある。
 そんな日本語だが、実は、決定的に足りない言葉があるのである。
 それはたとえばこんな場面に使われるべき言葉である
 「高校の委員会で、名前の知らない後輩や先輩たちと話し合っている。そのとき、隣に座っている同性の後輩の生徒が一度も発言していないことに気づく。その人にどう思っているのか聞きたい」という状況。
 そのとき、「○○くん(さん)はどう思う?」と聞ければいいのだが、名前が分からない。では、「お前」「君(きみ)」などの二人称で呼びたい。しかし、それが無いのだ*1
 「名前が分からない後輩」くらいの人物に使える二人称が。名前を知らない程度の関係で「お前」はあまりにも失礼。とはいえ後輩に「あなた」というのも違和感が残る。「君(きみ)」という言葉は上司と部下などならいいが、高校などの先輩後輩関係では使えない。違和感が残ってしまう。
 他にも「何度か顔は見たことあって隣のクラス(部署?)だと分かっている同年齢の同姓」だとか「複数送信で何人かいっせいにメールしている中でアドレスで誰だかわからない人」だとかいろいろある。
 これはたとえば英語などでは「You」で済むのだろうが、日本語は二人称を細かく分けているために、こういった穴が出てくる。
 我々日本人は日本語というものにあまりに密着しているため、こういった重要な事実に気がつきにくいのかもしれない。

*1:だったら二人称なしで肩でも叩いて「どう思う?」って聞けばいいじゃん、という意見があるかもしれないが、今回は「こういう場合どうすればいいの?」っていう主旨じゃなく「こういう場合で使える二人称がない」という主旨なので、その意見は無意味である。